大人の女性

今夜は彼氏が他の女友達とデートだったので、zzとフランカさん二人だけの夕食でした。

もうすぐ83才を迎えるフランカさんは元化学者、そして化学の先生を経て今に至ります。

彼女の家系はとても変わっています。

何人もの家族が化学関係の仕事をしているのですが、彼女のお母さんの代から南イタリアでは大変に珍しい前衛的な女性の家系なのです。

お母さんは30代で未亡人となり、5人の子供を抱えて一人で働きに出かけ全員を大学に通わせたスーパーな女性。

フランカさんのおばさんに当たる人たちは、イタリアで初めて女性の選挙権について大学の論文を書いたり、100年以上前の南イタリアで自転車を乗り回したり(とんでもなく閉鎖的な南イタリアで、これは本当にものすごいことなのです)

とにかく強い女性達に囲まれて育ったフランカさん。

彼女は亡くなった旦那様よりも随分先に車の免許を取っています

もちろん今も自分で運転して買い物に出かけます

今でも親戚が集まると話題になる彼女のお母さんは、93才の時に突然意識不明の重体に陥り

2週間以上生死の境をさまよった挙句、もうダメだろうと皆が思い始めたある日いきなり目を覚ましたそうです。

そして第一声

「ちょっと、タバコ頂戴」

と、ベッドの上で目を覚まして最初にやったのが、タバコに火をつけて一服だったそうです。

(ちなみにその後すっかり元気になって数年後に亡くなったそう)

戦前のイタリアで女性がタバコを吸うという行為は、ウーマンリブの最先端とも言えるもの。

男性同様に政治に精通し、仕事を持ち、タバコを吸い、自分の意見を堂々と述べる

ともすれば世間から煙たがられる全ての行為を、今は殆ど失われてしまったエレガンスと共にさらりとこなせる女性。

そんなイタリア女性達がかつては存在していたのだと言う事実を、二人だけの夕食の時にはフランカさんから沢山話してもらうのが大好きです。

そんなフランカさんですが、普段は大変穏やかで控えめな女性。

zzや彼氏の友人達が沢山やってくる夕食では、美味しい料理をふるまってくれます。

彼氏の職業柄、多くのミュージシャンやアーティスト、声優、俳優が来るのですが彼らは基本酒飲みです。

イタリア人は日本人と比べて肝臓の代謝が違うので、皆とてもお酒に強いのです。

あらゆる大酒飲みを見てきた中で、一番の酒飲みは誰? と聞かれると

真っ先に浮かぶのはなぜかフランカさん。

彼女のことを良く知らないお客さん達は恐らく彼女を「優しいおばあちゃん」くらいに思っているのですが

そんな彼らが食後のアマーロだとかヴィンサントだとかをワイワイ言いながら飲んでいる横で

しれーっとした顔で「私は先に休ませてもらいますよ。皆さん楽しんでくださいね。」などとのたまったかと思うと、zzの耳元でこっそりと

「ちょっと、グラッパ無いの?グラッパ」

アマーロがあるよ。と答えるzzに

「そんなショボいもん飲め無いわよ。ちゃんとしたお酒じゃなきゃ!」

しょうがないわねぇ。

と言って、自分の家に隠し持っているグラッパやらザカーパを引っ掛けに去ってゆくのです。

そもそも彼女は、水を飲みません。

飲むのは基本ワインかビール。

お料理しながら一杯引っ掛けるのが普通です。

お昼ご飯の時だって水なんか絶対に飲みません。

確かにガバガバ飲んだりはしませんが、飲み物=ワイン(かそれに代わる物)という、昔の水道事情が良くなかった頃のヨーロッパの常識が未だに根付いている最後の世代なのです。

世界で日本の次に長寿国なイタリアですが、その最大の理由は頑丈な肝臓にあるのだとつくづく思わずにはいられません。








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by outlawroma | 2016-03-04 07:23 | 生活 | Comments(0)