おばあちゃんの羽織
2012年 03月 20日
年末
実家に帰った際、着物や羽織をいくつか持ってきました。
そのうちの一つがこの羽織。
なんと、zzのお婆ちゃんが使っていたものです。
せっかくなのでカーディガン代わりに、日常的に着てみたのですが
だんだん袖がほどけてきました。
仕方が無いので繕います。
たまたまzzは使われていたのと全く同じ色の絹糸を持っていたので、せっせと縫い始めたところ
ほつれた部分をこれ以上ほどけない様に結ぼうとすると、糸がプチプチ切れてしまいます。
そういえば
これはお婆ちゃんが三十代のころ好んで着ていた と、お母さんが言っていたのを思い出しました。
zzも終盤とはいえ、三十代。面白い偶然です。
生きていればとうに100歳を超えているお婆ちゃん。
この羽織は70年以上前に作られたものなのです。
そりゃ、糸も弱くなるよね。
ちなみにほかにも色々と着物を見せてもらったのですが、どの着物もたった今呉服屋さんから買ってきたばかりかと見まごうほどの真っ白なピンピンの和紙に包まれていました。
母親の保存能力に驚きつつも
「家の着物はぜーんぶお婆ちゃんが縫ったもの」
と言う母親に、じゃあ何で呉服屋さんの名前が入った和紙に入ってるんだと突っ込んだところ
なんと、おばあちゃんは呉服屋さんに着物を卸すプロの和裁師さんだったのだと言う事が判明。
何で親ってこういう家族の身の上とかを、さらっと子供に伝え忘れるんでしょうね。
羽織を繕っていると、明らかに裏地の縫い代の部分が左右で長さが違ったりしてて
ああ、この羽織はきっと注文で余った生地を使って自分用に作ったんだな。
と言う事が分かりました。
こういうのは売り物には絶対にやらない、作る人にしか分からないちょっとしたことなのですが
物を作って売る仕事をしているzzにとっては、とてもなじみのあるこの、「ちょっとしたこと」がこの羽織にはあちこちに隠れていて、なんとも言えない親近感を感じてしまいました。
手先は器用と自負するzzですが、実は縫い物は大の苦手。
自分で着物を縫う日は来ないと思うので、せいぜいおばあちゃんの残してくれた着物を大事に着て行きたいと思います。