ちょっとまた、フランカさんネタなのですが。
つい数日前フランカさんが自分の息子に何気なく放った言葉に、ちょっとドキリとしたので綴ってみます。
バイクでツーリングに出かけようとしていた麗かな日曜の朝
「ねえちょっと、ATMで幾らか現金おろして家に置いておきなさいよ。ギリシャみたいになったら困るから」
という声が聞こえました。
・・・それって、ギリシャショックの時にお金が下ろせなくなって、ギリシャ国民がめっちゃ焦ってたあのことを言ってるの?
と、私は内心ドギマギしてしまったのですが
一日中テレビの前でニュースを見ている彼女が、ごく当たり前に
「じゃあ、お金が下ろせなくなる状態が来てもおかしくないわね。」
と、とりあえず先手を打っときましょ♪的なノリで言ったんだと思います。
因みに、以前私が銀行を乗り換えたのも彼女の言葉がきっかけでした。
私はmonte dei paschi di siena という、世界で一番古い歴史を持つ銀行に口座を持っていました。
イタリア政府が潰すわけないと言われている銀行ですが、ずっと経営不振が続いていて
「そろそろ変えよっかな、でもどこに変えていいかも分かんないな・・・」と、ズルズルそのままにしていたある日
「あらあなた、まだ銀行変えてなかったの?」
とフランカさんに言われ
「うん、でも一応一定金額以下の預金は(もちろん私の少ない預金はそれ以下)保証されてるから、万が一潰れても大丈夫だと思って・・・」
と答えると
「何言ってるの、今イタリアが無政府なの知ってるでしょ?政府がいない状態で銀行が契約守らなくても、全くおかしくないのよ。」
さっさと変えなさい!なけなしのお金が消えても知らないわよ。
という最もな意見に慌てて銀行を乗り換えたのでした。
口座を閉じに行った時、いつもなら混みまくりの支店はガラガラで、いたのはポーランド系の質素な格好をした女の子一人、おそらく東南アジア系のおじちゃん一人、そしてイタリア人のお爺さん一人。そして私と付き添いの彼氏だけでした。
口座閉じたいって言ったらどれだけグズるだろう、と構えていたのですが一週間前すでに小切手で預金が全て他の銀行に流れているのを見た銀行員は、言葉少なに凄いスピードで口座を閉じてくれて、ちょっと拍子抜けしました。
預金者のほとんどはもうだいぶ前に逃げ出していたのでしょう。
いやホントに私鈍いわぁ。と、今更ながら自分が平和ボケした日本人なのだと実感したのもこの時です。
他にも五つ星運動が力をつけ始めた頃、彼女が
「私はファシストの時代を実際に経験した人間なのよ。イタリアがまた似たような道を選びやしないか心配だわ。」
と、ぼそりと言ったのを思い出します。
5つ星運動とファシストを比べる気はありませんが、既に一度イタリア国民が扇動され惑わされた歴史を遠からず肌で感じて育った彼女が、なんらかの不穏な空気を感じ取ったという事実は軽視できません。
政治とは離れますが、実際に自分が40代を過ぎて人生を一通り経験してきた状態で世の中の流行り廃れを見ていると、結局似たようなことを忘れた頃にグルグル繰り返しているのが我々人間なのだということに気がつきます。
すべてアップデートしてるので少し違った風に見えるファッション、音楽、お笑い、料理、恋愛、人付き合い、お金の流れ、はたまた犯罪、そして戦争だって基本的な部分は結局同じようなものです。
40代でそれが分かり始める(もっと若くで体感する人もいるのでしょうが)のですから、80代にもなれば「あ、この流れはあの時のアレと同じ・・・」と思うことが沢山あるはずです。
グローバルな目線を持つのは大事だと良く言いますが、それと同じくらい時代を超えた目線も大事なんだなあと最近特にそう思います。
因みにzzのおばあちゃんは現在96歳ですが、彼女は「国民年金」というものを信用していない人でした。
27歳の若さで戦死した軍人の夫に残されてしまった彼女は、大きな苦労と共に国をアテしてはいけないと学んだのでしょう。
フランカさんにせよzzのお婆ちゃんにせよ、彼女たちの考えの是非はともかくとして
その姿勢からは色々学ぶものがあります。