ローマの魔女
2008年 09月 24日
駅から歩いてすぐのところにあるので、とても便利なのだけれど
改札を出てすぐ、物凄く重苦しいエネルギーが ずーーーーん
とのしかかってくるのが気がかりだった。
目の前に大きな建物があるので、そのせいかと思ってたんだけど。
働き始めて二日目、ほんの数分厨房に独りっきりになった時
まな板で刻みものをしているzzの肩越しに、誰かがぐっと顔を
近づけて覗き込んでいる気配がして、思わず振り返った。
そこには誰もいなくて、あれ、気のせいか。なんてそのまま
やり過ごしたところ、しばらくしてまたとても強い視線とも、気配とも
なんともつかない意識が後ろに感じられて振り返ると、一瞬黒い
残像のようなものがさっと掠めるのが見えた。
zzは幽霊が見えたりとか、そういうのはないんだけど
レストランの厨房には大抵、そういうのが一人か二人うろうろしている
のは経験上知っている。
でも、今回のは幽霊のようなどっちつかずの頼りない気配ではなくて
強烈な意図のようなものを持った何かだったので、周りのコックさんに
ちょっと言ってみた。
「ねえねえ、ここ、お化けいるよね。」
すると、パティシエのお兄ちゃんが思い切りびびった。
冗談だってば。
と、いくらとりなしても何でそんな事言うんだ?としつこいので
怖いの?と聞いてみたら思いがけない答えが返ってきた。
なんでも、このレストランが今建ってる場所にアンナ・ペレンナという
魔女が住んでいたんだそうな。
近くには彼女の噴水があって、今では埋められて駐車場になってる
らしいけど、未だになぜか水があふれてきて駐車場はいつも水浸し
なんだとか。
そういう曰くつきの場所なので、シェフの皆さんはひそかに
気持ち悪いなぁと思いながら日々、仕事をしていたらしい。
ちなみにレストランの名前は、とある数字一文字。
変な名前だと思っていたけど、なんとなく合点がいった
そんな一幕だった。
もちろんzzは仕事中ずーっと、この魔女とお友達になるべく
アプローチをしまくっている。
あたらしいお仕事、がんばってください・・・!
それにしてもすごい気配でしたよ。女性的なものは感じませんでしたし、人の気配というよりは強靭な意識そのものがグイッといきなり現れるといった感じでした。